相続財産の調査方法
相続財産の調査方法について簡単に説明しましょう。
不動産
- 自宅など被相続人の所有名義である可能性がある不動産(土地、建物、マンション)の登記簿謄本(コンピュータ化された現在では全部事項証明書といいます)を法務局で取りましょう。登記簿上の所在地と住居表示が一般には異なりますが、法務局備え付けのブルーマップで登記簿上の所在地を確認することができます。
- 名寄張(当該不動産所在地の市区町村役場で取得します)や固定資産税納付通知書などから不動産を発見することもありますので確認してください。
- 道路部分が共有となっていたりすることがありますので、固定資産税の通知書などを確認して、登記簿の取得が漏れないように注意してください。マンションでは敷地権付きになっていない場合には土地と建物の両方の登記簿を取る必要があります。
- 被相続人の実家の不動産が遺産分割未了となっている場合にはその相続分も被相続人の遺産分割の対象となりますので忘れないでください。
- 法務局では公図も併せて取得した方がよいでしょう。また、地積測量図や建物図面などが法務局で保管されていることもありますので、これらも取得してください。
- 市役所などで固定資産評価証明書を取得してください。
預金
銀行や信用金庫の場合が預金、ゆうちょ銀行の場合が貯金と呼ばれます。通帳が発見できなければ、給料や年金の振込口座、光熱費等の引落し口座などを確認しましょう。それ以外にも被相続人名義の預貯金が存する可能性がある金融機関に確認しましょう。
残高が分からなければ、銀行などに自分が被相続人の相続人であることを示す戸籍謄本と身分証明書を提示すれば死亡日の残高証明書を発行してもらうことができます。また、過去の預金口座の入出金内容を知りたければ取引明細も発行してくれます。銀行によって異なりますがおおむね10年の取引明細が開示されています(最高裁平成21年1月22日判決・民集63巻1号228頁は、預金者の共同相続人の1人は共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができるとしています)。
他の相続人が預金口座を管理していたのなら、特に、死亡の直前直後の出金に注意してください。窓口での出金であれば出金伝票を確認することもできます。他の口座に振り込んで出金されていれば、振込先の口座を調査することもできます。
株式・投資信託等
証券会社や信託銀行での取引があったのなら、そこでの取引内容の開示を受けることができます。評価額についても証券会社や信託銀行で確認してください。
保険
保険証券があれば当該保険会社に確認してください。預金口座から保険料の引落しがあれば保険をかけている可能性がありますので確認してください。
同族会社の株式
他の相続人が被相続人の会社を承継している場合、他の相続人は被相続人の持株を正直に教えてくれない可能性もあります。その場合、会社から株主名簿を開示してもらってください。また、株式の評価額を算出するために過去3年程度の決算書も開示してもらってください。
貸付金
被相続人が会社を経営していた場合、会社に対する貸付金がある可能性もありますので確認してください。
その他
自動車、ゴルフ会員権などいろいろ考えられますので、漏らさないように調査してください