円満な遺産分割を行うための留意点
円満な遺産分割を行うための留意点を掲げます。これらの点に配慮して、遺産分割を円満に行うようにしてください。
財産に関する資料は全て開示する
速やかな財産開示が行われない場合、開示を受けられない相続人は疑心暗鬼になってしまい、円満な話し合いができなくなってしまいます。できれば資料のコピーも添えて速やかに財産を開示するようにしましょう。
葬儀代などを支出した場合は記録を残す
故人の葬儀代、生前の病院代などを故人から預っていたお金で支払った、あるいは自分が立て替えて支払ったという場合、支出内容を記録しておきましょう。領収証があるものは保存し、領収証のないものについては帳簿をつけておきましょう。
ちんとした説明ができれば、他の相続人としても納得しやすいものです。
法定相続分に配慮する
民法で定められている法定相続分は社会において広く認知されているものと思われますので、法定相続分とかけ離れた分配方法を提案すると、他の相続人は不満を持ち、どうしても紛争が生じやすくなってしまいます。
特別受益を考慮する
被相続人の生前に財産の贈与を受けた相続人がいる場合、その贈与も配慮して分割案を考えましょう。特別受益は相続人間の公平を図る制度ですので、これを考慮することが円満な遺産分割のためには必要です。
寄与分に配慮する
他の相続人が親と同居して介護をしてきたなどの場合、遺産分割に際しては、その寄与分を配慮しましょう。親の財産目当てで介護してきたのではないとしても、長年苦労した相続人としては、自分の苦労が認められない分割案では納得がいかず、紛争が生じてしまいます。
自宅不動産や事業の承継に配慮する
自宅不動産や事業用財産(不動産や株式)が遺産の大半を占める場合、法定相続分にこだわり過ぎると、遺産分割のためにはこれらの財産を手放さなければなりません。このような場合、完全に公平な遺産分割は困難かもしれませんが、ある程度の譲歩をした方がよい場合もあるでしょう。
全員の了解を取りながら余裕をもって手続を進める
「相続税申告期限の直前になって、突然、遺産分割協議書に署名するよう強要された!」とのご相談も受けますが、これは紛争が生じる典型的なケースです。仮に他の相続人によかれと思ってしたことであっても、事前に十分な相談がないと、当然、不満に思います。
遺産分割に際しては、他の相続人と十二分に意思疎通を行いながら手続を進めることが重要です。