遺産分割協議の解除

遺産分割協議が成立した後、合意解除、債務不履行解除をすることは可能でしょうか?

合意解除

最高裁平成2年9月27日判決は、合意解除をすることは可能としています。ただし、税務上、相続税の申告をした後に合意解除をし、新たに遺産分割協議を行うと、贈与税が課される可能性がありますので注意してください。

最高裁平成2年9月27日判決・民集44巻6号995頁

共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて分割協議を成立させることができる。

債務不履行解除

最高裁平成元年2月9日判決は、債務不履行解除はできないとしています。

最高裁平成元年2月9日判決・民集43巻2号1頁

共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が他の相続人に対して右協議において負担した債務を履行しないときであっても、他の相続人は民法541条によって右遺産分割協議を解除することができないと解するのが相当である。けだし、遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し、その後は右協議において右債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであり、しかも、このように解さなければ民法909条本文により遡及効を有する遺産の再分割を余儀なくされ、法的安定性が著しく害されることになるからである。

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