調停・審判が申し立てられる遺産総額・審理期間
裁判所における遺産分割調停・審判の対象となる遺産総額・審理期間はどのくらいなのか、司法統計からご紹介します。
遺産総額
2018年(平成30年)度の司法統計「遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く)―遺産の内容別遺産の価額別―全家庭裁判所」によりますと遺産の価額は次のとおりです。
総数 7,507件
1000万円以下 2,476件(約33%)
5000万円以下 3,249件(約43%)
1億円以下 832件(約11%)
5億円以下 533件(約7%)
5億円超 53件(約0.7%)
算定不能・不詳 364件(約4.8%)
すなわち、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件のうち約33%(3分の1)が遺産総額1000万円以下の案件であり、約76%(4分の3)が遺産総額5000万円以下の案件なのです。
相続争いは、お金持ちだけだとお思いかもしれませんが、実際に遺産分割をめぐって争いとなる多くは一般の家庭なのです。
調停・審判の審理期間
2018年(平成30年)度の司法統計「遺産分割事件数―終局区分別審理期間及び実施期日回数別―全家庭裁判所」によりますと審理期間は次のようになっています。
総数 13,040件
1月以内 276件(約2.1%)
3月以内 1,360件(約10.4%)
6月以内 3,073件(約23.5%)
1年以内 4,403件(約33.7%)
2年以内 2,920件(約22.4%)
3年以内 655件(約5%)
3年超 353件(約2.7%)
すなわち、約70%が1年以内で終了しているのです。遺産分割に関する紛争は長期化するとの印象が強いのですが、案外、早く解決しています。ただし、紛争が激化している案件ではどうしても審理が長期化しがちであり、寄与分や特別受益の主張がなされている案件では長期化するものと思われます。