養子の子は代襲相続するのか?

被相続人Aが死亡した場合、子Bがおれば、Bは亡Aの相続人となります(民法887条1項)。

Aが死亡する前にBが死亡しており、Bに子C(Aの孫)がおれば、Cは亡Bを代襲して亡Aの相続人となります(同条2項)。しかし、Cが亡Aの直系卑属でない場合、Cは亡Aの相続人となりません(同項ただし書)。これは、被相続人と血縁関係のない者を代襲相続の場から排除するためです。具体的には、CがBの養子であった場合が該当します。

亡Aの兄弟姉妹Dが相続人になる場合、DがAよりも先に死亡していると、Dの子Eが代襲して亡Aの相続人となります(民法889条2項による887条2項の準用)。そして、上記と同様に、Eが亡Aの直系卑属でない場合、Eは亡Aの相続人となりません。具体的には、DがAの親と養子縁組したことによりAと兄弟姉妹になった場合がこれに該当します。ただし、DがAの親と養子縁組した後にEが出生した場合にはEは代襲相続人となります。

このことは概説書でも説明されていましたが(潮見佳男著「詳解相続法〔第2版〕」33頁)、最高裁令和6年11月12日判決が同様の判断をしました。

最高裁令和6年11月12日判決

民法887条2項ただし書は、被相続人の子が相続開始以前に死亡した場合等について、被相続人の子の子のうち被相続人の直系卑属でない者は被相続人の子を代襲して相続人となることができない旨を規定している。これは、被相続人の子が被相続人の養子である場合、養子縁組前から当該子の子である者(いわゆる養子縁組前の養子の子)は、被相続人との間に当該養子縁組による血族関係を生じないこと(民法727条、大審院昭和6年(オ)第2939号同7年5月11日判決・民集11巻11号1062頁参照)から、養子を代襲して相続人となることができないことを明らかにしたものである。そうすると、民法889条2項において準用する同法887条2項ただし書も、被相続人の兄弟姉妹が被相続人の親の養子である場合に、被相続人との間に養子縁組による血族関係を生ずることのない養子縁組前の養子の子(この場合の養子縁組前の養子の子は、被相続人とその兄弟姉妹の共通する親の直系卑属でない者に当たる。)は、養子を代襲して相続人となることができない旨を定めたものと解される。したがって、被相続人とその兄弟姉妹の共通する親の直系卑属でない者は、被相続人の兄弟姉妹を代襲して相続人となることができないと解するのが相当である。

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養子縁組がされている場合の代襲相続には上記の点にご注意ください。

(弁護士 井上元)

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