藁の上の養子の実母に対する相続権が認められた事例
事案の概要
実の母親が死亡したが、自分は、戸籍上、第三者の実子になっているため、金融機関から相続人とは認められないとして、払戻しに応じてもらえないとの相談がありました。 実母との間の親子関係を認めるDNA鑑定があったため、これをもとに親子関係が存すると主張して預金払戻し請求訴訟を提起し、払戻しを命じる判決を得ることができました。判決後、金融機関は控訴することなく、無事、払戻しを受けることができました。
コメント
民法779条では「嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。」と規定されており、非嫡出子とその親との法的親子関係が父のみならず、母についても認知により成立するものとされています。 しかし、上記法条にかかわらず、最高裁昭和37年4月27日判決は、母とその非嫡出子との親子関係は、原則として母の認知をまたず、分娩の事実によって当然発生するとしています。 本件は、DNA鑑定という証拠が存したため、上記最判に従い、戸籍を訂正しないまま金融機関に対して預金払戻し請求訴訟を提起したところ、請求を認容する判決を得て、払戻しを受けることができました。